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スルガ銀行への行政処分について

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スルガ銀行への行政処分に対する私見

「かぼちゃの馬車」のサブリース事案などに関連し、2018年10月5日付けで銀行法第26条第1項にもとづく行政処分が科されています。

(業務の停止等)
第二十六条 内閣総理大臣は、銀行の業務若しくは財産又は銀行及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該銀行に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該銀行の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して当該銀行の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは当該銀行の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であつて、銀行又は銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況によつて必要があると認めるときにするものは、内閣府令・財務省令で定める銀行又は銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況に係る区分に応じ、それぞれ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。

なお、この案件に関しては楽待実践大家コラムの内容は以下のとおりコラムで感想などを書いてきました。

「例のシェアハウススキームの破綻の件1」

「例のシェアハウススキームの破綻の件2」

「例のシェアハウススキームの破綻の件3」

「例のシェアハウススキームの破綻の件(おかわり)」

また、処分の前にはスルガ銀行からは、第三者委員会の報告書が以下のとおり公表されています。

スルガ銀行第三者委員会報告書リリース

処分の内容

銀行法第26条第1項に基づく命令

(1)平成30年10月12日(金)から平成31年4月12日(金)までの間、新規の投資用不動産融資を停止すること。
また、自らの居住に当てる部分が建物全体の50%を下回る新規の住宅ローンについても同様に停止すること。

(2)上記(1)の期間において、当行の役職員が融資業務や法令等遵守に関して銀行員として備えるべき知見を身につけ、健全な企業文化を醸成するため、全ての役職員に対して研修を行うこと。その際、各役職員が少なくとも一定期間通常業務から完全に離れ当該研修に専念することにより、その徹底を図ること。

(3)健全かつ適切な業務運営を確保するため、以下を実行すること。

① 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化(厳正な判断が期待できる社外の第三者による客観的な検証体制の構築及び責任追及を含む)

② 法令等遵守、顧客保護及び顧客本位の業務運営態勢の確立(当局への正確な報告の実施にかかるものや過去の不正行為等に関する必要な実態把握を含む)と全行的な意識の向上及び健全な企業文化の醸成

③ 反社会的勢力の排除に係る管理態勢、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る管理態勢の確立

④ 融資審査管理を含む信用リスク管理態勢及び内部監査態勢の確立

⑤ 当行の営業用不動産の所有・管理や当行の株式の保有等を行い、創業家の一定の影響下にある企業群(ファミリー企業)との取引を適切に管理する態勢の確立
⑥ シェアハウス向け融資及びその他投資用不動産融資に関して、金利引き下げ、返済条件見直し、金融ADR等を活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための態勢の確立

⑦ 上記を着実に実行し、今後、持続可能なビジネスモデルを構築するための経営管理態勢の抜本的強化

(4)上記(3)に係る業務の改善計画を平成30年11月末までに提出し、直ちに実行すること。

(5)上記(4)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3ヶ月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を平成30年12月末とする)。

金融庁ウェブサイトより抜粋)

新聞報道などで事前に報道されたとおりの内容であり、公表も午後4時頃であったため、株価への影響はありませんでしたが、PTSでも大きな動きはありませんでした。

注目のポイント

処分を受けて以下のとおりスルガ銀行からはリリースがでています

スルガ銀行リリース

当行では、シェアハウス向け融資を含めた投資用不動産融資を実行する際に、カード
ローン、定期預金、保険商品等の様々な商品を抱き合わせて販売しているが、これらの
取引は、顧客にとって経済合理性が認められない取引となっており、顧客保護上不適切
な業務運営となっている。こうした取引の中には、銀行法第13条の3第3号(抱き合
わせ販売)に違反する行為が一定数認められる。
また、当行は、銀行代理業の許可を持たないチャネルに顧客への説明を委ねており、
顧客説明態勢に不備が認められる。

スルガ銀行リリースより抜粋)

今後、定期預金の作成についても、抱き合わせ販売の可能性が指摘されており、他行の同様の勧誘にも影響がありそうです。

また銀行と投資用不動産業者とのかかわりについても、見直しが図られる可能性を示唆しています。

2018年6月28日、「シェアハウス等顧客対応室」を設置し、現在62名の
専従職員がお客さまの置かれた個々の状況に応じてきめ細かく、貸出金利の引き下
げ、元金据え置きなどの対応をさせていただいております。これまでに直接交渉可
能なシェアハウス・オーナーのお客さまについて全体の約9割のお客さまと面談を
実施し、うち約7割以上のお客さまについて金利・返済方法等の条件変更を実施さ
せていただきました。今後もお客さまの状況に応じて、きめ細かく対応してまいり
ます。また、金融機関として取り得るあらゆる選択肢について踏み込んだ検討を行
ない、必要に応じて金融ADRや民事調停等の手続を利用し、元本債権を一部放棄
するなど、当社においても相応の負担に応じることとしております。

スルガ銀行リリースより抜粋)

今回のかぼちゃの馬車問題に限らずに、顧客に対しては一定の対応をするようです。投資用不動産融資を利用している顧客で、利払いなどに苦しんでいる場合には交渉次第では、もしかすると一定の優遇措置をとってもらえる可能性があるかもしれません。

私見

大きなサプライズはないものの、処分が確定したことで一定の安心感が特にマーケットには広がるのかなと思う一方で、不動産業界が抱える深い闇がこの先も暴かれるのか、そのまま「かぼちゃの馬車」の個別の問題としてかたずけられてしうのかは、動向に注目かと思っています。

少し報道になったTATERUと西京銀行の件が特に気になりますが、今のところは動きがありません。この件も大きな問題になるようであれば、いよいよ個人向け不動産融資の扉がしまる時期なのかもしれませんね。

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